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銀インクが5G規格の EMIシールドを最適化

スマートフォンは、その高速化、多機能化が進んでいます。しかし、特に5G技術が広く確立するにつれ、電磁障害の発生も頻繁になっています。信頼性の高いシールドがなければ、現代の携帯電話は機能しません。ヘレウスプリンテッドエレクトロニクスは、パッケージレベルでのシールドを可能にする、画期的なかつ持続可能なフルシステムソリューションを開発しました。すなわち、極小部品にも高効率でシールドが可能な、極薄の銀層を形成するソリューションです。

ウェーバーのクローズアップ

ヘレウスプリンテッドエレクトロニクスは、設備・材料・プロセスを一括で提供するフルシステムソリューション、Prexonics®を開発しました。これはEMI対策を必要とする場所(センサー、アンテナ、高周波パッケージなど)に対して、粒子フリーの銀インクを選択的に塗布する産業用インクジェットプリンターから成るソリューションです。選択的に印刷を行うため、マスキングやエッチングは不要です。物理気相成長(PVD)スパッタリングなどの従来のプロセスに比べ、材料や時間、エネルギーを大幅に削減することができます。

選択的な印刷により、パッケージ設計が自由に

このシステムソリューションでは、小型化のトレンドに対応するため、銀の保護層を1/20ミリの精度で印刷し、熱硬化させます。デジタル印刷によりEMIシールドを最適化し、例えば高周波チップの超高速データ伝送など、モバイル通信における5G規格に欠かせない要求事項を保証しています。

このプロセスでは、チップ設計の自由度を高めることができます。つまり、これは、顧客が特定の用途のために必要としているレイアウトを正確に印刷できるということです。レイアウトはCAD図面に基づくもので、柔軟に変更することができます。そのため、チップ設計の制約が緩和されます。ヘレウスの社内スタートアップであるヘレウスプリンテッドエレクトロニクスの代表であるフランツ ヴォルマンは、「私たちのインクジェットプロセスは、画期的な設計を生み出すための自由をもたらすと確信しています」 とコメントしています。

産業用インクジェット・プロジェクターの端末で作業する白衣姿の作業員
システムソリューションPrexonics® PES 2110

さらなる分野への応用も可能に

この技術は、自動車など、他の用途や業界にも応用が可能です。電気自動車では、従来の自動車の駆動技術に比べて、電磁両立性や信頼性の高いシールドが非常に重要な役割を果たします。

また、銀インクを使ったメタライゼーションへの応用も可能です。ヴォルマンは、「私たちのシステムは、銀の層を非常に効率的かつ正確に印刷できるので、表面をメタライジングすることが可能です」と述べています。この技術は、従来の電気メッキのプロセスに代わる技術ともなりえます。

さらに、銀は熱伝導性に優れており、サーマルインターフェース材料(TIM)にも適しています。電子部品の熱を外に放出する熱中間層として機能し、動作の信頼性を向上させます。そのため、Prexonics®は熱マネジメントに使用できます。「私たちのフルシステムソリューションが生み出す可能性は、今後も尽きません」とヴォルマンはコメントしています。

UV硬化プロセスによるウェーバー
ウエハーのUV(紫外線)硬化プロセス