1. ホーム / 
  2. ニュースとストーリー / 
  3. ヘレウスカメレオン

カメレオン:エネルギー消費を抑制し、安全性を向上

他の業界と同様、鉄鋼業界においても、持続可能な生産へのシフトが課題となっています。鉄鋼メーカーは、環境保護や気候変動対策、ひいてはコスト削減のために、エネルギー使用量・排出量の削減に努めています。鉄鋼生産における重要なプロセス変数のひとつに、アーク炉(EAF)内の溶鋼の温度が挙げられます。

基本酸素炉(BOF)が鉄鉱石と石炭を使用するのに対し、アーク炉(EAF)は鉄スクラップを再利用して製鋼を行います。EAFを用いる工程では石炭の使用がないため、BOFに比べCO2排出量が大幅に削減できます。

温度測定の精度と信頼性が向上すれば、最適な出銑時間を正確に予測することができ、鋼鉄の品質が向上します。さらに、最終温度を正確に制御できるかは、炉の効率的な運用の鍵となります。

電気アーク炉

私たちの貢献:光計測で最適な出銑時間を特定

鋼浴温度は通常、溶鋼に使い捨てのプローブを取り付けた棒を浸して測定します。熱電対を用いたこのような浸漬測定方法は2~3分を要します。これはスラグドア側で行いますが、ただし、EAF内の熱分布は均一ではありません。

偏心炉底出鋼(EBT)型の炉内では通常、出銑口が最も低温となります。

カメレオンのさまざまな構成要素
カメレオンのシステム構成

EBTの出銑側の温度は未知数であるため、出銑口に詰まりが起きないように、炉は過熱されます。その結果、エネルギー、CO2、時間が過度に消費されてしまいます。一方、出銑が早すぎると、スクラップの溶け残りにより詰まりが発生する可能性があります。ヘレウス・エレクトロナイトのエキスパートが開発した「カメレオン」は、EBT内の正しい位置での測定を可能にする革新的なシステムです。

図解 熱放射の測定
熱放射

信頼性の高いデータで迅速な対応を

カメレオンは光ファイバーによる新しい計測アプリケーションであり、正確な温度測定を数秒で行います。制御室からの遠隔操作ができるのでオペレーターが炉に近づく必要がなく、安全面の長所も備えています。

シーケンスモードでは、次の測定をいつ行うかをシステムが独自に決定します。測定にかかる時間はわずか10秒程度。データを即時に利用できるので、温度をほぼリアルタイムで管理することができます。

結果の描写
測定結果

半連続的な温度プロファイルにより、溶融サイクルの最適な終了点を決定することができるため、オペレーターは、早すぎず最適なタイミングで確実に出銑することができます。